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2006年10月26日 (木)

コブナグサ(小鮒草) 草紅葉に映える草

名前 コブナグサ(小鮒草)
分類 イネ科
花期 9月~11月
生育地 湿った草地、田の畦、道ばた
私が出会った場所 埼玉県・宮代町 他

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今までこの草に美しさを感じたことはなかった。今日、草紅葉をバックにこの草を眺めたとき美しいと思った。最近イネ科の植物に美しさを感じる。

撮影 平成18年10月22日(日) 埼玉県宮代町

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2006年10月25日 (水)

ナツアカネ(夏茜) 泉鏡花の描いた赤蜻蛉

名前 ナツアカネ(夏茜)
分類 トンボ科
出現期 6月~12月
生息地 平地から低山の湖沼
私が出会った場所 埼玉県・久喜市、杉戸町、宮代町 他 日本各地の多くの場所で

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あれあれ見たか、
    あれ見たか。
二つ蜻蛉が草の葉に、
かやつり草に宿をかり、
人目しのぶと思えども、
羽はうすものかくされぬ、
すきや明石に緋ぢりめん、
肌のしろさも浅ましや、
白い絹地の赤蜻蛉。
雪にもみじとあざむけど、
世間稲妻、目が光る。  
あれあれ見たか、
    あれ見たか。

                  泉鏡花『縷紅新草』

『縷紅新草』は泉鏡花の遺作である。その小説の冒頭に描き出された赤蜻蛉の美しさ。鏡花が描いた赤い蜻蛉にもっともふさわしいのは顔まで赤く染まるナツアカネではないだろうか。

撮影 平成18年10月 埼玉県杉戸町

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2006年10月23日 (月)

カワセミ(翡翠)①  『やまなし』の世界

名前 カワセミ(翡翠)
分類 ブッポウソウ目カワセミ科
生育地 平地から低山の河川・池など
私がであった場所 埼玉県・久喜市、杉戸町、宮代町、春日部市、寄居町、さいたま市など、その他日本の多くの場所でであっている。

カワセミ(翡翠)② お別れの日の思い出 その2

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宮澤賢治の『やまなし』は小学6年の国語の教科書で出会った。その当時はよくわからなかった。しかし、わからなかったけれども魅力的だった。『やまなし』の中でカワセミは次のように登場する。

  その時です。俄(にはか)に天井に白い泡がたつて、青びかりのまるでぎらぎらする鉄砲弾(だま)のやうなものが、いきなり飛込んで来ました。
  兄さんの蟹ははつきりとその青いもののさきがコンパスのやうに黒く尖(とが)つてゐるのも見ました。と思ふうちに、魚の白い腹がぎらつと光つて一ぺんひるがへり、上の方へのぼつたやうでしたが、それつきりもう青いものも魚のかたちも見えず光の黄金(きん)の網はゆらゆらゆれ、泡はつぶつぶ流れました。 
 二疋はまるで声も出ず居すくまつてしまひました。
 お父さんの蟹(かに)が出て来ました。
「どうしたい。ぶるぶるふるへてゐるぢやないか。」
「お父さん、いまをかしなものが来たよ。」
「どんなもんだ。」
「青くてね、光るんだよ。はじがこんなに黒く尖つてるの。それが来たらお魚が上へのぼつて行つたよ。」
「そいつの眼が赤かつたかい。」
「わからない。」
「ふうん。しかし、そいつは鳥だよ。かはせみと云ふんだ。大丈夫だ、安心しろ。おれたちはかまはないんだから。」
「お父さん、お魚はどこへ行つたの。」
「魚かい。魚はこはい所へ行つた」
「こはいよ、お父さん。」

私がこの作品に触れた、小学6年生の時は環境破壊のためカワセミはどこでも見られる鳥ではなくなっていた。しかしカワセミは町に戻ってきた。自然は壊されていることばかりが強調される嫌いがあるが、美しいカワセミが町に戻ってきたこともどんどん紹介されてよいと思う。

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  撮影 さいたま市岩槻城址公園

◆関連記事
サワガニ(沢蟹) 宮澤賢治『やまなし』の世界

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2006年10月22日 (日)

シロカネイソウロウグモ  居候する銀色の蜘蛛

名前 シロカネイソウロウグモ(白金居候蜘蛛)
分類 ヒメグモ科イソウロウグモ属
出現期 6月~10月
生息地 都市部から山地までのジョロウグモなどの蜘蛛の巣
私が出会った場所 埼玉県・杉戸町、久喜市、宮代町、武蔵丘陵森林公園 他

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ジョロウグモの巣をよく見ると、数ミリの大きさの銀色の光がうごめいていることがある。時には何10もの光が動き回っている。その動き回る光の正体はシロカネイソウロウグモ(白金居候蜘蛛)。名前の通りこのクモは女郎蜘蛛などの巣で居候し、ジョロウグモの食べかすを食べて生きている。上の写真の銀の点がそのクモである。このクモを拡大すると下のような写真になる。

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クモの巣に居候するクモ。クモの世界も奥が深い。

撮影 平成18年10月 武蔵丘陵森林公園

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2006年10月21日 (土)

ナンバンギセル(南蛮煙管)  思い草

名前 ナンバンギセル(南蛮煙管) 別名 思い草
分類 ハマウツボ科ナンバンギセル属
花期 7月~9月
生育地 山野のススキ、ミョウガ、サトウキビが生えている場所
私が出会った場所 埼玉県・武蔵森林公園

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ススキの群落を見つけると腰をかがめて中を覗き込む。ひっそりと咲くナンバンギセルに出会うため。必ず見つけられるわけではないが、見つけることができたときは心の中がぽっとあたたかくなる。南蛮煙管という名前は、桃山時代煙草とともにもたらされた煙管に似ていることからつけられたもの。万葉の時代には思い草とい名前で登場する。

道の辺の尾花が下の思ひ草今さらになぞものか思はむ

が有名。うつむきかげんにつく花を恋に思い悩む女性に見立てた感性が素晴らしい。実はこの草はススキの根に寄生している。ススキの栄養を吸い取りつつその根もとで可憐な花を咲かせているのだ。そのような事実が、この花を現代の人間に見立ててみたいという気持ちにさせるのだが…。やめておくとしよう。私はこの花を見つけてぽっとあたたかくなる心を大切にしたい。

撮影 平成18年10月 武蔵丘陵森林公園

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2006年10月16日 (月)

イヌスギナ  ツクシとスギナの合成写真のような…

名前 イヌスギナ(犬杉菜)
分類  トクサ科トクサ属
生育地 原野、川原、池沼などの湿った場所
私が出会った場所 千葉県・流山市

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イヌスギナの写真は、ツクシとスギナを合成してつくりあげた植物を思わせる。最近はツクシを見たことがない子どももけっこういて、ツクシを知らない子にとっては私がこの植物に感じる面白さはわからないかもしれない。

撮影 平成18年10月15日 千葉県流山市

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2006年10月10日 (火)

オギ(荻) 秋の到来を知らせる草

名前 オギ(荻)
分類 イネ科ススキ属
花期 9月~10月
生育地 河原、水辺
私が出会った場所 埼玉県・杉戸町、久喜市、栃木県・奥鬼怒林道 他

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オギとススキは似ている。多くの人はオギをススキだと思っている。実際この写真からこの花がススキではなくオギと分かる人は少ないと思う。オギとススキは似ているが生育場所は異なる。ススキは山野路傍の到るところに生育するが、オギは水辺に多く生育する。

オギは古来から秋の到来を知らせる草として知られてきた。山本健吉編集の『基本季語500選』(講談社学術文庫)にはオギは「オギ」ではなく「荻の声」という季語で紹介されている。

紀貫之は『拾遺集』に

荻の葉のそよぐおとこそ秋風の人に知らるる始なりけれ

という歌を残している。オギの葉が秋の初風にそよぐ音に、秋の到来を感じるという贅沢は人工音に満ちあふれた現代においては味わうことは難しい。現代はオギの句を詠む人はあまり多くないようであるが、少ない句の中で私は秋元不死男の次の句が好きである。

頬ずりに子は目を閉づる荻の声    不死男

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私は荻の美しさを伝えたい。

撮影 
上 平成18年10月10日 奥鬼怒遊歩道
下 平成18年10月10日 宮代町古利根川

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2006年10月 7日 (土)

ヤマカガシ ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉

名前 ヤマカガシ(山楝蛇)
分類 ナミヘビ科
生息地 平地から山地
私が出会った場所 栃木県・日光(小倉山)

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日光の小倉山でヤマカガシに出会った。ヤマカガシは近年まで無毒の蛇と考えられていた。軽く噛まれた程度では毒が人体に入り込むことはあまりないためである。しかし、ヤマカガシは毒を持っていた。ヤマカガシが持つデュベルノイ腺毒は毒性が強く、いったん体内に入り込むと、全身に出血が見られ、死に至ることもあるという。穏やかな性格でめったに人を噛むことはないようだが。

ヤマカガシの写真を撮るために、薮に入ったとたんガササササ!という大きな音とともにもう一匹のヤマカガシが姿を現した。もう少しで踏みつけるところであった。もし踏みつけでもしたら噛まれていたかもしれない。危ない危ない。

ヤマカガシは地域による色彩の変化が多い蛇である。写真のヤマカガシは関東地方産で黒と赤、黄色の斑紋がはっきりしている。関西地方では、斑紋がはっきりしないものが多い。

カエルの詩人・草野心平に「ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉」という長いタイトルの詩がある。

痛いのは当たりまへぢやないか
声をたてるのも当たりまへぢやないか
ギリギリ喰はれてゐるんだから
おれはちつとも泣かないんだが
遠くでするコーラスにあはして唄ひたいんだが

というカエルのゲリゲの独白によって構成された詩である。
小倉山で撮影したヤマカガシの写真を見ていたら、ふとその詩が頭をよぎった。

撮影 平成18年9月23日 日光・小倉山

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2006年10月 5日 (木)

メマツヨイグサ 富士には、月見草がよく似合う 

名前 メマツヨイグサ(雌待宵草)
分類 アカバナ科マツヨイグサ属
花期 6月~9月
生育地 各地の道ばた、河原など
私が出会った場所 

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 正確にいえば月見草は待宵草とイコールではない。しかし太宰治が「富嶽百景」で「富士には月見草が似合う」と書いた月見草は待宵草(更に正確にいえばオオマツヨイグサ)のことである。植物学的には別の月見草があることを知った上で、私は待宵草を月見草と呼びたい。

 太宰治は「富嶽百景」で富士山を称えようとしない。それどころか富士を楽しむ遊覧客が乗り込んでいるバスの中で、富士には一瞥も与えようとせず富士と反対側の山路に沿った断崖をじっと見つめている老婆に共感を覚えたりするのだ。その老婆がぽつりと呟く。

「おや月見草」

そして老婆は、細い指でもって、路傍の一か所をゆびさすのだ。「富嶽百景」の中で私が一番気に入っているシーンである。

そして太宰は次のように続ける。

三七七八メートルの富士の山と、立派に相対峙し、みじんもゆるがず、なんというのか、金剛力草とでも言いたいくらい、けなげにすっくと立っていたあの月見草は、よかった。富士には、月見草がよく似合う。

富士山には目もくれず月見草に心を動かされる老婆。私も太宰同様共感するところがある。富士山が嫌いなわけではないが、山好きの私はまだ富士山の山頂に立ってはいない。

撮影 平成18年9月30日(土) 杉戸町

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2006年10月 4日 (水)

ジョロウグモ 幾何学模様の罠

名前 ジョロウグモ(女郎蜘蛛)
分類 ジョロウグモ科
出現期 9月~11月
生育地 人家の庭、山地の林道など広く分布
私が出会った場所 埼玉県・杉戸町、久喜市、宮代町 他 日本各地

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秋空には数え切れない赤とんぼが舞っている。
その赤とんぼが支えている命がある。

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ジョロウグモは生まれながらにして複雑な幾何学を身につけている。
そしてその幾何学は芸術である。ジョロウグモの網は三重構造になっている。日の光に当たるとこの網は黄金色に輝き、実に美しい。美しい罠である。

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 谷崎潤一郎の処女作『刺青』は男と女と女郎蜘蛛の物語である。女郎蜘蛛は女の背中に刺り込まれる。そして、その女郎蜘蛛が女を変えてしまう(女の本性を顕わにする)。女郎蜘蛛は作家に妖しい物語を紡ぎ出させる生き物である。

撮影 上から

平成18年9月30日(土) 杉戸町
平成18年9月24日(日) 高尾山1号路にて

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