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2006年5月 1日 (月)

ヒメツチハンミョウ 毒虫の正体とファーブルとの繋がり

名前 ヒメツチハンミョウ
分類 ツチハンミョウ科
生育地 山地
私が出会った場所 栃木県・那須

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前回紹介したハンミョウに毒虫という誤解を与えることになったのが、ツチハンミョウの仲間である。三斗小屋温泉に向かう途中、青い光沢のある美しい虫と出会った。初めての出会いだが、ツチハンミョウの仲間だということがわかった。卵を詰め込んでぱんぱんにはった胴と飛ぶことに関して役に立たない羽根がそう語っていた(家に帰ってから写真をもとに図鑑で調べたところ、これがヒメツチハンミョウであることがわかった)。

ツチハンミョウは愛読書・ファプル昆虫記の中でも取りあげられている昆虫で、その生活誌は不思議に満ちている。

以前マメハンミョウというこの仲間を自宅近くで見かけ、そのグロテスクさに嫌悪感を抱いたことがあった、しかし、その一生を知ることによって、嫌悪感は畏敬へと変わっていったことを記憶している。

まずこの虫の産む卵の数が尋常ではない。ファープル昆虫記にはこの虫の親戚が4000以上の卵を産むことが記されている。そして、その幼虫はアザミなどの花によじ登り、ハナバチのオスが蜜を吸いに来るのを待ち、蜜を吸いに来たところでハナバチの体から生えている毛にしがみつく。更にハナバチのオスとメスが出会うときに、この幼虫はオスからメスへと移動する、そしてハナバチが生まれてくる幼虫のえさとして用意した蜜の塊に卵を産み付けるときに、その卵の上に飛び移りまずはその卵を食べる。その1齢幼虫は卵を食べるのに適した形に外見が作られている。この1齢幼虫は卵の上から落ちてしまうと蜜に溺れて死んでしまう。そして卵を食べ終えるとこの幼虫は脱皮して2齢幼虫となる。これは1齢幼虫とは形が違い、蜜の上に浮いて蜜を食べるのにふさわしい形となっている。
この幼虫は次々と自分の形を変えていく不思議な変態を繰り返す。そしてファープルはそれを過変態と呼んだ。

人間はよく人間の道徳を他の生きものに当てはめることをする。ツチハンミョウのように他の生きものに寄生することをモラルを欠いたこととして表現することがある。
しかし、ファープルはそんなことはしない。ファープルは昆虫記に次のように書いている。

◆各自の種を維持しようと(生きものは)順次に追い剥ぎとなり追い剥がれとなり、順次に喰う奴となり、喰われる奴となる。自然が生物に強制しているこの宿命的な苛烈な闘争を思いめぐらすとき、重苦しい感情に交じって、各寄生昆虫が目的を達するのに使う手段に感心せずにはいられない。

この虫の仲間はカンタリジンという、微量でも人を死に至らしめることができる毒物を含んでいて或るものはそれを体から出すということを本で読んで知っていたため、近づいて写真をとるときに少し緊張感があった。

この虫との出会いが、私とファープル昆虫記の世界との結びつきを更に強めてくれたことは確かである。

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