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2006年4月30日 (日)

ハンミョウ(斑猫) 美しさから生じた誤解

名前 ハンミョウ (斑猫)
分類 ハンミョウ科
生息地 路上でよく見られる
私が出会った場所 千葉県・梅ヶ瀬渓谷(4月後半)、長崎県・対馬(5月初旬)、東京都・高尾山(6月上旬)

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 ハンミョウは漢字で書くと斑猫。背中に斑紋があり、仕草が猫に似ているからこの名前がつけられたという。英語ではtiger beetle、つまり虎のような甲虫という名前がつけられている。ハンミョウは狩りの名人で、体の大きな毛虫やバッタなどを狩る、その獰猛さからそう名付けられたという。獰猛さからだけ判断すると、英語の名前がこの虫にふさわしい気もする。

 ハンミョウは成虫だけでなく、幼虫も獰猛な狩人である。その狩人である幼虫を釣遊びがある。ハンミョウの幼虫は日当たりのよい庭や固い地面の道に小さな穴をあけて、獲物を待つ。そのハンミョウの巣穴に、細長い葉を差し込むとハンミョウの幼虫が餌だと勘違いしてかみつく、その時その葉を引き上げるとハンミョウの幼虫が釣れるというものだ。

 上の写真のように、ハンミョウは美しい虫だ。そして毒がないのに毒虫と間違えられている虫である。

 たしかに斑猫(はんみょう)という名の毒物は存在する。しかし、それはハンミョウではなくツチハンミョウから抽出される毒物である。ツチハンミョウが持つカンタリジンという物質は大変強い毒で30ミリグラムという極微量(数匹分)で人間を死に至らしめるという。

 ハンミョウは文学者にとっても魅力的な虫のようで、『どくとるマンボウ昆虫記』(北杜夫)や『私設博物誌』(筒井康隆)でも紹介されている。奥本太三郎はNHKの人間大学で行った『虫の文学史』と題された講座の中でハンミョウを取り上げている。
3人ともハンミョウが毒虫と間違われていることに言及していることが面白い。

 泉鏡花に『龍潭譚』という小説がある。主人公の少年は美しい虫に刺されることで異界を彷徨うことになる。主人公を刺したその美しい虫の形容は次のようなものだ。

つくづく見れば羽蟻の形して、それよりもやゝ大なる、身はたゞ五彩の色を帯びて青みがちにかゞやきたる、うつくしさいはむ方なし。

 これはまさにハンミョウを描写したものである。ここでハンミョウは毒虫として扱われている。ただ『龍潭譚』はそんな間違いをはるかに越えた魅力ある作品であるのだが。

 高尾山で久しぶりにこの虫に出会った。そして、この美しさそのものに毒があると感じた。

撮影場所 高尾山1号路

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2006年4月29日 (土)

サワガニ(沢蟹) 宮澤賢治『やまなし』の世界

名前  サワガニ(沢蟹)
分類  エビ目サワガニ科
生息地 水のきれいな渓流(都会にも住んでいるらしい)
私が出会った場所 千葉県・養老渓谷、埼玉県・寄居町、東京都・高尾山、京都府・鞍馬

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私は賢治の童話『やまなし』の冒頭に出てくる蟹の兄弟の会話の響きが大好きだ。


2匹の蟹の子供らが青じろい水の底で話てゐました。
『クラムボンはわらつたよ』
『クラムボンはかぷかぷわらつたよ』
『クラムボンは跳てわらつたよ』
『クラムボンはかぷかぷかわらつたよ』

『クラムボンは死んだよ』
『クラムボンは殺されたよ』
『クラムボンは死んでしまつたよ…』
『殺されたよ』
『それならなぜ殺された』

中略

『クラムボンは笑ったよ』
『わらった』
にはかにパツと明るくなり、日光の黄金は夢のやうに水の中に降ってきました。

 クラムボンとは何だろう?さまざまな説があるようだが、私は言葉遊びが好きだった賢治が、crab(蟹)+bomb(泡)からクラムボンを生みだしたとする説に共感を覚える。まぁ、音の響きと会話のテンポが気に入っているのでクラムボンはなんでもいいといえばいいのだが。

 小学校の教科書に『やまなし』は掲載されていた。その当時は物語を進めていく沢ガニも、沢ガニの子どもたちに死を意識させるカワセミも自分の目で見たことはなかった。
さまざまな色彩が効果的に配置されている賢治ワールド。それは物語に登場する生きものたちの姿を視覚的に確認することで何倍も面白くなる世界だ。
小学生の私は、この物語の魅力を理解することができなかった。
この物語の虜となるのは、それから10年後のことである。

★写真 上から
 埼玉県玉淀湖
 千葉県養老渓谷 平成18年4月29日(土)
  京都府鞍馬

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2006年4月15日 (土)

ツマキチョウ 春の妖精(スプリング・エフェメラル)

名前 ツマキチョウ(褄黄蝶)
分類 シロチョウ科
生息地・時期 平地から山地 3月下旬~5月
私が出会った場所 埼玉県・久喜市、杉戸町、蓮田市(4月) 他

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スプリング・エフェメラルという響きのよい言葉がある。Spring ephemeral=「春のはかない命」という意味だという(英和辞典を引くとehpemeralは昆虫や花が一日しか生きないことを表す形容詞である)。

 写真のツマキチョウは里山で見ることができるスプリング・エフェメラルの代表選手として挙げることができる。私はこの蝶が大好きで、昨年はこの蝶の写真を撮りに何度も隣町の森に出掛けた。しかし、飛翔が速く、満足する写真を撮ることができなかった。そして、スプリング・エフェメラルはその姿を消してしまった。

 待つこと1年。ツマキチョウが私の目の前で羽をひろげてとまってくれた。まるでどうぞ私をお撮りくださいとでもいうように。緊張した、「飛ぶなよ」と願って何度も何度もシャッターを押した。子どもの頃、虫取り編みを持って蝶と対峙したときの気持ちが蘇った。

撮影 4月15日(日) 蓮田黒浜沼

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2006年4月14日 (金)

ウラシマソウ(浦島草) 浦島太郎から取られた名前

名前 ウラシマソウ(浦島草)
分類 サトイモ科テンナンショウ属
生育地 山野の木陰
私が出会った場所 埼玉県・杉戸町・さいたま市岩槻地区 その他

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 オオタカが見られるという場所に出掛けた。そこは私が住んでいる杉戸町のとある場所。そこでこのあたりでは珍しい植物が群生している場所を見つけた。写真の植物の名前はウラシマソウ。漢字で書けば浦島草である。
鞭状に垂れ下がった花序の付属物を、浦島太郎が釣り糸をたれている姿に見立てて命名された。
学名はArisaema urashima Hara 。ここにも「浦島」の名前が使われている。Haraは原で発見した人の名前だろうかと思ったが、これは「haima=血」を表した言葉で、葉柄にある斑点にちなんでいるそうだ。

正岡子規にウラシマソウを詠んだ次のような句がある。

   枕もと浦島草を活けてけり

結核という死の病と闘いながら、枕元にこんな不気味な植物を活けてしまう子規。すごい人物だと改めて思う。

撮影 平成18年4月9日(土) 埼玉県杉戸町

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2006年4月 9日 (日)

タカオスミレ(高尾菫) 高尾山の思い出とともに

名前 タカオスミレ(高尾菫)
分類 スミレ科
花期 3月~4月
生育地 高尾山
私が出会った場所 東京都・高尾山

Img_3679_2春休みの最後の日曜日を使って、高尾山に出掛けた。高尾山は私の記憶に残っている中では、この世に生を受けて初めて登った山である。

確か小学1年生の時ではなかっただろうか。その頃の私が一番こころときめかせていたのは昆虫採集だった。特にチョウに心惹かれていた私は、捕虫網を持って父と共にこの山に登った。

寺山修司がなくなった後、彼を偲ぶ演劇が上演された。彼の初期の代表作『毛皮のマリー』はそのトップとして上演された。そのオープニングシーン、暗闇の中、捕虫網を持った少年達が浮かび上がる。幻想的に捕虫網を操る少年達は美しかった。そして「懐かしい」という気持ちで満たされた。

 今から20年以上前の話である。おそらく私だけでなく、多くの観客が捕虫網の少年に「懐かしさ」を感じたはずである。明らかに、懐かしさを伴った美しさを狙った演出であった。さて、いまの子どもたちが大人になったとき、果たして捕虫網の少年は懐かしさ呼び起こすだろうか?高尾山に登りながら、そんなことを考えていた。

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高尾山は動植物の宝庫である。高尾山の名前が付いている植物もある。その一つがタカオスミレ。ヒカゲスミレの葉の表面が焦げ茶色から黒紫色になったもので、高尾山で初めて採取されたことからその名前が付いている。

 今年の冬は寒さが厳しく、花の時期も遅れ気味ということで、タカオスミレに会えるかどうか心配であったが、日影沢で見ることができた。
高尾山に登ってから約40年。かつての昆虫少年は、昆虫だけでなく、花、鳥、両生類、キノコなどなどさまざまな生き物に興味を持って、この場所に戻ってきた。 

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2006年4月 6日 (木)

オウレン(キクバオウレン) 雪国植物園にて

名前 オウレン(キクバオウレン)
分類 キンポウゲ科オウレン属
花期 3月~4月
生育地 山地の林内
私が出会った場所 新潟県・角田山、樋曽山、雪国植物園

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長岡の雪国植物園で撮影したオウレン(キクバオウレン)。この植物園は自生種を植物園として守るというスタンスの植物園であり、その方向性は私好みだ。雨に濡れたオウレンの花が魅力的だった。

撮影 
上 新潟県・雪国植物園
下 新潟県・角田山

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2006年4月 3日 (月)

マンサク まず咲く花

名前 マンサク(満作)
分類 マンサク科マンサク属
花期  3月~4月
生育地 山地の乾いた斜面
私が出会った場所 埼玉県・四阿屋山、新潟県・弥彦山・雪国植物園、福島県・裏磐梯

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 マンサクの花に始めてであったのは、新潟県にある弥彦山。山頂近くはまだ雪が残っていた。
 マンサクの花を図鑑で知ったときの私の感想は、「これが花?」というものだった。はじめはまったく魅力を感じなかったが、年を重ねるにつれこのような一見地味な花により魅力を感じるようになってきた。野生の状態で出会いたいと思うようになった。
 マンサクという名前の由来には二つの説がある。一つはこの花がよく咲く年は豊年満作と言われることから。もう一つはこの花が他の花に先駆けて「先ず咲く」ことから。

弥彦山は頂上付近までロープウェイで行ける。ほとんどの人が山頂からの眺望を楽しんだ後、ロープウェイを使って麓まで戻る。私は麓まで歩くことを選択したが、それは大変静かな山歩きであった。

まんさくやかへりみて誰も居らぬ路  
                    滝 春一

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