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2011年11月 6日 (日)

笑いについて考える 私が好きな笑い『怪談の多い料理店 第4話~山姥の微笑み~』

昨日のブログで言及した笑いに繋がるわくわくする世界。それは『怪談の多い料理店』の第4話『山姥の微笑み』のことである。この夏の上演の際は1番笑いが取れたのは『トイレの鼻毛さん』であったが、私は『山姥の微笑み』の方が自分の笑いの方向性に合致していると考えている。少し長くなるが、『山姥の微笑み』全文を紹介したい。

★★★第四話(サラダ)『山姥の微笑み』

シェフ 第四話を紹介いたしましょう。
スー・シェフ 第四話は『学校の怪談パート2』。
ソムリエ 舞台は美術室。そして、その題名は。
シェフ 『美術室の鼻毛さん』
スー・シェフ などという安易な作品創りはいたしません。
ソムリエ 料理の準備が整ったようです。
シェフ それではまいりましょう。
スー・シェフ 『怪談の多い料理店』
ソムリエ 第四話
シェフ達 『山姥の微笑み』 
シェフ サラダと一緒にお楽しみください。

シェフ達は退場する
美術室の中にはたくさんの彫刻が飾られている。
舞台中央には「山姥の微笑み」と題がつけられた3人の山姥の彫刻が飾られている(山姥の格好をした人が彫刻として立っている)。
上田先生と諏訪先生が舞台に登場する。

諏訪 上田先生。夜の美術室って不気味なところですね。
上田 諏訪先生、大丈夫。私がついています。

突然の雷。
雷に彫刻が青白く輝くと同時に電気が消える。

上田 停電か。
諏訪 上田先生、私、恐くて歩けません。
上田 さあどうぞ、私がおぶっていきましょう。
諏訪 恥ずかしいわ。
上田 誰も見てませんよ。
諏訪 彫刻が見ているような気がします。
上田 そんなばかなことあるわけないじゃないですか。さあ、どうぞ、私の背中に。
諏訪 まあ恥ずかしい。どうしましょう。

そう言って諏訪先生が後ろを向いた瞬間、雷。
その雷に彫刻が動き出す。

諏訪 (悲鳴。その悲鳴は女性的ではなく、野太い男性的なもの)

その悲鳴にびっくりして、上田は倒れる。

上田 諏訪先生。いったいどうしたんですか。
諏訪 彫刻が動きました。
上田 そんなばかな。稲妻が作り出した幻でしょう。
諏訪 でも確かに。見てください、この彫刻生きているようじゃないですか。

諏訪先生は中央にある山姥の彫刻を触る。

上田 それは『山姥の微笑み』という彫刻です。
諏訪 『山姥の微笑み』?不気味な題ですね。
上田 作者ははじめ『マドンナの微笑み』という作品を創っていたのですが、できあがった作品はどう見てもマドンナには見えず、後で山姥の微笑みと名前を変えられたようです。
  「ふふふふふ」
諏訪 上田先生。変な声で笑わないでください。
上田 私は笑ってません。諏訪先生、あなたこそ笑いませんでしたか。
諏訪 私が笑うはずないじゃないですか。
  「ふふふふふ」

雷。
彫刻が動き出す。

上田 ばかな。
諏訪 上田先生、山姥が、山姥が笑ってます。
山姥達 縄がいいかい、それとも茄子がいいかい。
上田 怪談でよくあるやつだ。「赤いマントがほしいか、青いマントがほしいか」。赤だとナイフで刺され血だらけになって死ぬ。青だと体中の血を吸い取られ真っ青になって死ぬ。
諏訪 どっちを答えても死んでしまうなんて詐欺だわ。
山姥達 縄がいいかい、それとも茄子がいいかい。
上田 縄だと縄で首を絞められる。茄子だと…いったい何をされるんだ、想像もつかない。いったいどっちを選んだらいいんだ。
諏訪 縄!
上田 諏訪先生。何で縄なんて言ったんです。
諏訪 私、茄子が嫌いなんです。
上田 そういう問題じゃないでしょう。
山姥達 そうかい。縄がいいのかい。

そういって縄を取り出す。

山姥達 ふふふふ、ふふふふ。覚悟はいいかい。

山姥は突然縄跳びを始める。
稲光、そして雷鳴が響き渡る。
シェフ達が現れる。

ソムリエ 美術室の暗闇の中、
スー・シェフ いつまでもいつまでも
シェフ  縄跳びの音が響くのであった。★★★

山姥の役の一人は縄跳びが得意だったので、二重跳びの後、最後は連続三重跳びを披露して幕となった。笑いの中に拍手が起こる。笑いの中にも感動のようなものがある。『山姥の微笑み』のラストは、そんな気持ちのよい一場面となった。

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