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2009年1月31日 (土)

『ザネリ』はどんな物語なのか ~カットした台詞から~

 『ザネリ』がどんな作品かということについて書こうと思うが、それをまとめるだけの時間がない。そこで、上演の直前にカットした台詞を紹介したいと思う。この台詞を読むと、『ザネリ』がどんな話なのか、少しわかるのではないかと思う。カットしたのは、『銀河鉄道の夜』でザネリを演じることになった隼人という少年に、姉の舞が、現在一緒に暮らしていない兄について語る台詞である。

舞  (昔を思い出して)小学生の時『タッチ』って野球漫画、人気あって、私大好きだった。双子の和也と竜也って少年の物語。物語の途中で甲子園を目の前にした弟の和也が男の子を助けて交通事故で死んじゃうんだけど、私、テレビのそのシーンで悲しくて、悲しくて、わんわん泣いてたのね。その隣で、ぼそって言うんだ。「助けられた男の子つらいな」って。「これ背負ってどうやって生きていけばいいんだ」って。感動が、すーってひいていくんだよね。「私せっかく感動に浸っているのに、この感動を壊さないでよ」って感じ。
あの頃は、お兄ちゃんのそういうところが嫌いだった。きっとまわりからも嫌われてたんじゃないかな。

 『ザネリ』はカムパネルラの死を背負って生きることとなるザネリと、隼人という少年の人生を重ね合わせて描いた作品だ。私は自らの命を投げ出して人を助けた側ではなく、助けられた側を描きたいと思った。しかし、いざ描き出すと、その現実はあまりにも重く苦しいものだった。

 死んでしまった人が生きている人に会いに来る物語がある。生きている人が死んでいる人に会いに行く物語がある。『ザネリ』はそのような物語に連なることを拒んで作られた物語である。

 物語の世界では、死んでしまった人がこの世に現れたり、生きている人が生きたままあの世に行く話がリアリティーを持てる。だが、私は、それらを封じた状況で、少年が救いを見いだす物語を創りたかった。しかし、そのような状況で、少年が救いを見いだすことにリアリティーを持たせることは、困難を極めた。漫画『タッチ』で和也に助けられた少年の物語では、私は救いを描くことはできなかったのだ。

 ただ、私は救いのない現実を描くということはできなかった。作品がエンターテイメントであることにもこだわりたかった。そのことでリアリティーが幾分失われることがあっても。『ザネリ』が関東でどんな反応と出会うことになるのか、楽しみである。

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