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2008年1月 2日 (水)

『春一番』~友情物語を拒む中で生まれた友情物語~

あさのあつこが『バッテリーⅡ」(角川文庫)の後書きで書いている。

『バッテリー』を少年の成長物語などと言わせるものか。友情物語などに貶めたりしない。絶対しない。強く、強く、そう思ってきた。

 私は『バッテリー』を友情を扱っているという点で、友情物語の範疇に入れることのできる物語として読んだ。ただ、友情物語にありがちな大団円、みんながみんなわかり合うというような現実離れした陳腐な表現がないという点で、凡庸な友情物語の枠組みは超えていると感じた。

 私が今回創った『春一番』は友情物語である。明らかに友情という得体の知れないものを扱っている。大団円とも思えるラストもある(私は大団円を書いたという気はしていない、ただそう思う人はいるだろう)。ただ、私はこの作品を単なる友情物語に貶めたくはないと思いながら描いた。登場人物に単なる暖かい風は吹かない。彼女らに吹く風は向かい風である。しかし、その向かい風は木枯らしではない。そう、彼女らに吹く風は春一番である。強い砂混じりの風、しかし、暖かくもある風。そんな風をドラマの最後の最後まで吹かせたかった。

 前述の後書きの中であさのあつこは叫んでいる。

 (『バッテリー』を)既成の物語の枠組みに、易々とはめ込まれてしまうような陳腐な物語にして堪るかよ。

 『春一番』がどんな物語としてみる人の心に届くのか。楽しみでもあり恐ろしくもある。

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