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2005年10月 9日 (日)

『白線流し~夢見る頃を過ぎても~』 深みのあるドラマ

切ない思いに胸が熱くなった。
それはないだろうといった破綻と感じる場面も多々あった。あったが、見終わったあとは「まあそれはそれでいいか」という気持ちにさせてしまう何かが作品に備わっていた。ほろ苦く切なく、それでいて温かいそんな思いが残る素敵なドラマだった。
人生の転機となるような大きな出来事を省略を用いて物静かに語っていく手法が見事であった。主人公が愛する青年の妻(実は婚姻届は出されてなかったのだが)の死や、友達の一人が警察官をやめる場面などが、実にさらりと言葉少なに役者の表情に多くを語らせることでて描かれていて素敵であった。
また登場人物に向ける作者の眼差しに人間を見る深さを感じ、共感できた。今回このドラマでは主人公の教え子の一人として学年一の成績優秀な少女が登場する。多くの学園ドラマでは優等生はその学力の優秀さが心の貧しさの原因となっているというステレオタイプとして描かれる。しかし、多くの凡庸なドラマのような視線はこのドラマにはない。その少女に「私って(頭がいいから)かわいくないよね」とさらりと語らせる場面では、成績優秀であるがために生まれる心の襞が実にさりげなく見事に描かれていた。信本敬子が脚本を担当しているこのシリーズでは、落ちこぼれの生徒にも成績優秀な生徒にも等しく温かい眼差しが注がれている点が素晴らしい。

第3回フジテレビヤングシナリオ大賞で大賞を受賞した信本敬子。その受賞作『ハートにブルーのワクチン』も『白線流し』同様、星が重要な役割を演じる作品だった。もう10年以上前になるが私はフジテレビヤングシナリオ大賞に応募したことが一度だけある。その時受賞作品の傾向を研究するために熟読したのが『ハートに…』だった。私は第6回のヤングシナリオ大賞に応募した。『ときめきよろめきフォトグラフ』と名づけた作品は最終選考の更に先の9人の1人まで残ったが、そこまでだった。
主人公の友達の一人(以前は役者希望だったが現在は脚本家志望?)が最後のシーンでフジテレビヤングシナリオ大賞に応募する。きっと封筒の中には『白線流し』という脚本が入っていたのだろう。そして、それが日の目をみて今まで私たちが見てきた『白線流し』シリーズが生まれていくという円循環を形づくるということになるのだろう。その意味で、このドラマは完結せずに永遠に続いていく。実に見事なエンディングだと感じた。

私はもうヤングではないが、もう一度以前のような夢を追ってみたくなった。

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